映画「タクシードライバー」

 1976年公開のアメリカ映画です。監督は、「シャッターアイランド」やアカデミー監督賞を受賞した「ディパーテッド」で有名なマーティン・スコセッシ監督。主演は、言わずと知れたハリウッドを代表する俳優のロバート・デ・ニーロです。
 ストーリーの概要は、ベトナム戦争からニューヨークへ帰ってきた元海兵隊員がタクシードライバーとして働き始めるが、そこで見た世間とのギャップや孤独感から新しい暮らしに適応できず、独善的な価値観にすがり、テロにも似た狂気へと走る物語です。
 今までみたことない人も、作品の名前を耳にしたり、アンニュイな雰囲気の溢れる映画ポスターを目にしたことはあるのではないでしょうか。この作品を見てみて考えされられたことは、誰しも持っている承認欲求とそれが満たされなかったときの怖さです。
 承認欲求とは、よく心理学で議論される言葉で、社会生活を営んで行く上で、「誰かに自分のことを認めて欲しい」と思う感情のことを言います。全て自分で自身を認めてあげられればいいですが、強がったところで、そうはいかないのが人間心理だと思います。人は生きていく中で他人との関わりを避けられませんし、できたとしても、それは、非常に孤独で満たされない人生のように感じます。できれば、人と関わり合い、人から「君のことが好きだ。」とか「君の言っていることはよくわかるよ。」とか、人の好意や共感に触れながら生きる方が充実した人生を送れるものと思います。
 この映画の主人公は、ベトナム戦争を経験し、心に闇を抱えてしまったことから、最後まで、他人との心の距離を埋めることができません。ニューヨークという大都市で彼がどれほど声を上げたとしても誰も気づいてくれないのです。結局は、自分が勝手に気を通わせていると思っているだけの少女を売春から救うために、売春組織に銃も持って乗り込みそのメンバーや買春客を射殺し、自分も撃たれます。
 映画の最後は、銃撃を受けて入院している主人公が売春組織から少女を救った英雄として、マスコミに取り上げられているシーンがありますが、映画の描写をよく見ると、実際は彼はもうこの世にはおらず、ただ戦争という悲劇から闇を背負ってしまった一人の孤独な人間に対する鎮魂歌のようにも思えます。
 皆さんは、日常の中で自分の存在を人にちゃんと気づいてもらっていますか。そうであればと、心から願います。
 

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